はっ…涙が…。
涙もろいんだよぉぉぉ。
とーとつに思い付いた。
オロチとふぶき姫の話。
私はあいつが“本心„では好きだった。
口ではさんざん酷いことを言った。
なのにあいつは私に笑いかけた。
あいつと会ったのは、暑い日のこと。
暑くて倒れそうになった時、助けてくれた。
「大丈夫?いま冷やしてあげるからね!」
そう声をかけてくれたのはふぶき姫だった。
私は一目惚れだった。
あんなに美しい人は見たことがなかった。
あいつと仲良くたったのはそれがきっかけだった。
あいつは姫。私は暗躍者。
当然仲良くできる筈のないのに。
あいつは見付けると構わず話し掛けてくる。
「ねぇ?名前教えて!」
「……オロチだ。」
「わぁ…!素敵な名前!私はふぶき!」
そう笑っていた。
なぜこんな暗躍者の私と話せるのか。
ずっと気味が悪いと言われてきた
このマフラーもあいつは誉めた。
「そのマフラー素敵、可愛いね。」
あいつがいるとずっと頭が混乱した。
そんなある日。
あいつが私の自室に来たのだ。
「えへっ…来ちゃった♪」
あいつはそう笑っていた。
私はこう言った。
「もうこんな時間だ、帰れ。」
あいつは寂しそうな顔で
「伝えたいことがあるのに…。」
なんだ?と言う前に
私の顔に何かが当たった感触がした。
あいつは
「…私…オロチ君がす…」
その言葉を発する前にあいつは消えてしまった。
私を“愛してしまった„からだ。
皆私を愛してしまったから死んでしまう。
それが私は嫌だった。
あいつだけは消えてほしくなかった。
「…すまない。今、私も行く…。」
その瞬間体が宙に浮く
そして下へ下へ落ちていく。
そして私は地面に一輪の赤い花を咲かせた。
罪を重ね続け、暗躍者となり体も心もボロボロになった。
それから解放されるのだ。
来世はきっとあいつと……。
終わり。
オワタ