ストーリー編!
第5話「別れからの逃走」
告げられたのは、「お前たちが最初の紅月光豪下の豪民だ。」
最初は言った意味が全く分からなかった。だが、その1分後。ようやく、意味がわかった。
そうだ。この紅シティー・中央ルナセンスを離れないといけないのだ。
中央ルナセンスを離れるということは、出会った来た仲間たちと別れを告げないということだ。
もちろん、これらを理解した俺は簡単に承諾することは無かった。
「嫌です。紅月光豪下に行きたくありません。」
そう玲音さんに告げた。
それを聞いた、玲音さんはこうなることが分かりきったような表情を出し、「嫌だと言っても、もう豪民になることは決まってるんだよ。」
決まっていた?ここで、自分たちが選ばれた理由が固い友情を結んだ者ということが分かった。
俺には幼馴染の桐生玲奈って奴がいるんだが、そいつとは大学までずっと一緒だった。こうやって、関わっていくうちに友情は緩いものから固いものへと変化を遂げた。いずれ、この友情は親との絆レベルに程固くなった。
そうか、こいつらは固い友情を妬む、非情な奴らだと分かった。
すると、同じく選ばれた荒川慎吾が「地元の仲間たちとバンドを組むつもりだったのに…嫌です!仲間たちと離れるなんて!」
すると、玲音さんは一気に表情が鬼の形相へと変貌し、「うるせぇ!一般市民どもが俺のような上級市民に文句を言うんじゃねぇ!」と鋭い刃のような言葉を言い放った。この言葉で空気は一気に凍り、荒川は何も言い返せない様子だった。
すると、玲音が一気に5人を強引に引っ張りだし、無理やり紅月光豪下行きのバスへと乗せようとした。
もちろん、このまま無抵抗で乗り込むのも嫌なので、全員で抵抗した。
1vs5だ。さすがに立派な社会人の玲音でも抵抗を防ぎ切ることはできず、無事玲音から離れることに成功した。俺たちは国道198号線に沿って、南の南部雑談広場へと走って向かった。
何分か走っていると、後方から玲音の声が聞こえた。
走りながら後ろを振り返ると、車窓から顔出し、俺達の名前を叫ぶ玲音の姿があった。
この光景に俺たちはぞっとした。
これこそが人間の怖さと言うものをこのときに学んだ。
第6話へ続く