【3ぱぱさんのご出張】その8
先輩「とにかく再発注しないで図面を直せないか考えよう!倉庫に少しは材料もある何とかなるかもしれない」
3ぱぱ「わかってますよ。こんなの上層部に知られたら大変ですよね。」
先輩と一緒に今ある材料で図面の変更が出来ないか模索する。気がつけば夕方になっていた。
先輩「ふぅ……一応出来たな。」
3ぱぱ「ですね……」
図面の変更は完成した。しかし大きな問題があった。今現在施工している全てを解体して第一工程からやり直さなければならなかった。
先輩「問題は工務店が納得してくれるかだよな。工期に間に合わせるなら連日徹夜になるぞ。それでも終わるかどうか……」
3ぱぱ「何とかお願いしてみます。今から現場に工務店の社長呼んで頼んでみます。」
急いで現場へと向かう。途中の車の中で色々な事を考えてしまう。
再発注になったら12月に控えてる娘の発表会も行けないな……あ!バスTも出来ないな……きんにく先輩始末書だけで済むかな……また胃に穴あくな………頭の中は悪い事しか考えられなくなっていた。
現場に到着すると工務店の社長、源さん、あばれる君が待っていた。
社長「3ぱぱさん、どうしました?」
3ぱぱ「社長さん。実はゴニョゴニョ……」
社長「ええ!3ぱぱさん、流石に無理ですよ!これ毎日ぶっ続けで仕事しても終わるかどうか………」
3ぱぱ「そこを何とかやってもらえませんか?私も手伝います。」
社長「そんな事言われてもな〜」
源さん「…………」
源さんは図面を見て黙り込んでいる。
社長「申し訳ないけど再発注してもらえますか?」
3ぱぱ「そうですか……わかりました。無理言って申し訳ありませんでした。」
諦めかけたその時だった。
源さん「おい!要一(仮名)!」
源さんが社長(舛添要一似)の名前を呼ぶ。
源さん「3ぱぱさんが困ってるじゃろ!力貸したれ!」
社長「げ、源さん……」
源さん「3ぱぱさんよ、悪いがこの図面じゃ無理だな。図面貸してみろ。」
3ぱぱ「はい……」
源さん「ここをこうやってな、こうするんじゃよ!これなら第一工程を修正しながら第二工程を組める。最短で治せるわ!」
3ぱぱ「源さん、確かにこれなら早いけどこんな精密な作業出来るんですか?」
源さん「ワシはお前さんがオムツはいてる頃からこの仕事しとるわ!出来ない事など無いわ!」
源さん「そのかわり3ぱぱさんよ!毎日作業手伝ってもらうぞ。要一!お前も手伝え!」
3ぱぱ「源さん勿論手伝いますよ!」
社長「参ったな…源さんに言われたら逆らえないな……3ぱぱさん、源さんはね、うちの従業員だけど私の師匠でもあるんですよ。先代から会社引き継ぐ前は源さんに付いて修行してたんですよ。」
正直、今にも涙が出そうだった。源さん達に深く頭を下げてお礼を言う。
源さん「うちの息子がな、3ぱぱさんの事を大きな友達だとよ。息子の友達なら助けてあげなきゃいかんだろ。」
3ぱぱ「源さん、ありがとうございます………」
源さん「それからな、この現場終わったら息子とベイスターズしてくれるか?」
3ぱぱ「ベイスターズ?」
源さん「そうベイスターズ」
3ぱぱ「!(源さん、それバスターズ)」
3ぱぱ「源さん!勿論!喜んで!息子さんと“バスターズ”します!」
源さん「さて、じゃあやるかの!」
源さんがニコリと笑う。はじめて現場で笑う源さんを見た。家族といる時に見せたあの優しい笑顔だった。
続く