【とんかつ屋のおかみさん】その2
3ぱぱ「もしもし、先程そちらで食事した者ですが息子が眼鏡とゲーム機を忘れてしまいまして……」
女の人「あー!はいはい!あります!ありますよー!」
3ぱぱ「今から取りに行っても大丈夫ですか?」
女の人「大丈夫ですよー!お待ちしてますー!」
後ろではガヤガヤと騒がしく大きな声で女の人が答えてくれた。
3ぱぱ「よし。息子DSと眼鏡取りに行くぞ!」
息子「僕面倒くさいから、ぱぱ行ってきて〜。」
3ぱぱ「おいおい忘れたのお前だぞ!」
息子の頭を軽く叩き再びとんかつ屋へ向かう。
とんかつ屋に着いた頃にはピークは過ぎたのだろうか。駐車場に車はほとんど停まっていない。店の横の勝手口で子供とボールで遊んでいる、おかみさんらしき人を見つける。
3ぱぱ「すいませーん!先程電話した者です。忘れ物を取りに来ました。」
おかみさん「あー!はいはい。ちょっと待ってくださいねー!」
おかみさんが勝手口に足早に入って行く。
おかみさん「はいお待たせしましたー!」
息子「ありがと−!」
DSの戻ってきた息子。受け取るとすぐに蓋を開ける。やりかけで蓋を閉じていたのか武士王の軽快な音楽が聞こえてくる。
3ぱぱ「お騒がせしました。」
軽くお辞儀して後ろを向く。
おかみさん「アハハハハハハ」
おかみさんが大声で笑っている。何事か?と後ろを振り返るとおかみさんが一言。
おかみさん「高田さん!また来てくださいねー!」(※今回私の名前は高田延彦(仮名)にしてあります。)
ん?名前を名乗ったかな?そう思いながらおかみさんの顔を見る。
3ぱぱ「ん?………お前、コルゲンか?」
おかみさん「アハハハハハハ!やっと気が付いたか!そうだよコルゲン。高田君久しぶり−!」
偶然の再会だった。とんかつ屋のおかみさんは私の中学校の同級生だった。元々は私もおかみさんも隣町の出身だ。この街で遭遇するとは思ってもいなかった。
おかみさん「コルゲンなんて呼ばれたの何十年ぶりだろう?2階の座敷で食べてたでしょ?忙しくてあまり見れなかったけど、もしかしたらと思ってたんだー。」
3ぱぱ「いやー!わからないよー。何十年ぶりだ?最後に見たのいつだよ?」
おかみさん「………高校2年の冬かな………」
3ぱぱ「………あ、ゴメン………」
おかみさん「アハハハハハハ!大丈夫だよ。昔の事だからさー!」
私はおかみさんに聞いてはいけない事を聞いてしまった……
続く