【息子と親友の話】第二話
当時私達夫婦は2DKのアパートの2階に住んでいた。息子の康祐がハイハイをし始めると真下に住む引きこもりニートの住人よりうるさいとクレームが来るようになった。
うるさいなら外に出て日の光でも浴びてろ!と内心思いながらも大きくなる息子の為に大急ぎで我が家の城の建築にかかる。
嫁さんは都会に住みたいと言ったが私はやや田舎の方がよかった為、半ば強引に田舎寄りに家を建てた。
周りには新しい家が立ち並ぶ静かな場所。息子が歩くようになった頃に家は完成し新しい土地での生活をスタートさせた。
引っ越しを済ませた後に近所に挨拶にまわる。一通り自分たちの家から見える家には回る事に。
一番近い家から順番に周り最後の一件に、ピンク色の可愛らしい家だ。
ピンポーン……インターホンを鳴らすが反応がない。
3ぱぱ「留守かな?」
嫁「また後で来ようか?」
康祐「シャッ!シャッ!」
挨拶を諦めて帰ろうと思った時、軽快な自転車の音と共に女の人の声が聞こえる。
女の人「うちに用ですか〜?」
後を振り向くと自転車にまたがるお母さんと自転車の後ろにヘルメットをかぶった女の子の姿が。買い物に行っていたのだろうか、自転車の前のカゴにはスーパーの袋が積んである。袋の中には大量の銀チョコロールが入っている。
眼鏡をかけ髪を後ろで一つに束ねている優しそうな顔の女性と少し浅黒いくせっ毛の女の子。
3ぱぱ「こんにちは。近所に引っ越して来た3ぱぱです。引っ越しの挨拶に来ました。(しかし銀チョコロール、大量に買ってるな………)」
女性「ああ、あそこの新しい家ね!はじめまして。岡田です。後ろに乗っているのが娘のまいです。」
まい「うぃんなー!」
3ぱぱ「ウィンナー?」
まいママ「アハハ。この子まだウィンナーしか喋れなくて。」
康祐「シャッ!シャッ!」
3ぱぱ「ハハハ……うちの子はシャッ!シャッ!しか言えないです。」
まい「うぃんなー!!」
康祐「シャッ!シャッ!」
今後、康祐の人生に大きく関わっていくまいちゃんとの初対面の瞬間だった。
続く