【息子と親友の話】第四話
月日は少し流れる。まいちゃんは幼稚園に通い出し息子は2歳になっていた。
まいちゃんの通う幼稚園………地域で1番人気のない幼稚園だ。園長先生が厳しく毎年先生が辞めてしまうらしい。
何故わざわざあそこの幼稚園に?とまいちゃんパパに聞いた事がある。
まいパパ)「ん?1番近いから。遠いと色々と面倒でしょ。」
その通りだ………まいちゃんパパらしい考えだ。
息子はまいちゃんが幼稚園に通い出し少し寂しそうだ。日中の遊び相手がいなくなってしまったからだ。毎日まいちゃんが幼稚園から帰ってくるのを楽しみにしている。
そんなある日、息子がまいちゃんの帰りを待っていると、まいちゃんが友達を連れて幼稚園から帰ってきた。
嫁「まいちゃん今日は友達と遊ぶみたいだね。」
康祐「うん………」
康祐がまいちゃんと遊ぶのを諦めようとした時いつもの様にタタタタッと走る音が、
まいちゃん「こうちゃ〜ん!あそぼー!」
後ろからはもう一人女の子が走ってくる。幼稚園生とは思えない美形な顔の女の子。
後に康祐の親友となるおう太の姉。長岡三姉弟の長女「みらい」ちゃんだ。そしてさらにその後らから小さい男の子が………
康祐「まいちゃんのお友達?」
まい「幼稚園のお友達だよ。」
康祐「ふ〜ん。」
…………と康祐の背後から吉田沙保里バリのタックルが。
吹っ飛ばされて大泣きの康祐。タックルしたのは「おう太」だ。
長岡ママ「おう太〜!!」
まいママ「こ、こうちゃん大丈夫?」
嫁「こ、康祐」
おう太「キャッ!キャッ!」
康祐2歳、おう太1歳、二人の出会い。それは強烈なタックルで始まった。
長岡ママ「ご、ごめんなさい!この子暴れん坊でちょっと目を離すと……」
嫁「アハハ……だ、大丈夫です。」
号泣する康祐。それを見て大喜びのおう太。
今まで周りには女の子しかいなかった康祐。はじめて喰らった男の子のタックルは衝撃的だったのだろう。8歳になった今でも康祐はこの日の出来事を憶えている。
この後、何度かまいちゃんの家に遊びに来るみらいちゃんとおう太を見かけるが康祐が近づく事はない……
康祐「あの乱暴な子がいるからヤダ!」
おう太のタックルがトラウマになっていた。年下の1歳児にビクつく康祐だがそろそろ来年から通う幼稚園を決めなければいけない。
「まいちゃんの通う幼稚園だけは、無いわぁ〜」が口癖だった嫁。しかし選んだ幼稚園はまいちゃんと同じ幼稚園だった。
嫁「何であそこの幼稚園にしたかって?制服が可愛いから。まいちゃんもいるしね。」
………そんな理由か……。嫁さんらしい決定方法だ。息子はまいちゃんと幼稚園に通うのを楽しみにしている。
しかし息子はまだ知らない。幼稚園バスを待つ場所には、みらいちゃんの見送りに付いて来るおう太がいる事を………
続く。