【息子と親友の話】第六話
女の人は何故お喋りが好きなんでしょうか?
康祐が幼稚園に通っている頃、お母さん達はバス停トークで盛り上っていた。バス停トークでは足りないお母さん達、金曜日の幼稚園お迎えの後は暗黙の了解で誰かの家に集まる様になっていた。
康祐にとっては地獄のFriday。おう太と遊ぶ日だ……。普段幼稚園の送迎時はお母さんに拘束されているおう太だが金曜日の午後は解放されている。
遊びはじめて数分間は仲良く遊んでいる。ほんの数分間だ………おう太にとっては軽いイタズラのつもりで康祐に絡む。冗談の通じない康祐は本気で怒る。そして始まるのが叩き合いだ。
そして毎回負けるのは康祐だ。前に【息子のお泊まり会】で少し話をしたが長岡三姉弟の身体能力は普通ではない。和製グレイシー一族の様なものだ。特に姉「みらい」vs「おう太」のケンカは美しささえ感じる様な殴り合いだ。
当時ろくにケンカをした事の無い康祐がかなう相手ではなかった。
我が家では「おう太め!」と言いながらクッションを叩く康祐の姿をよく見たものだ。
地獄のFridayの後に来るのは楽しい土日の休日だ。特に日曜日の午後はまいちゃんの家の庭で家族総出で過ごす。
まいパパ「3ぱぱさん、今度一緒にキャンプに生きませんか?」
3ぱぱ「おー!キャンプですかいいですね〜!」
そんな約束をしたのを憶えている。しかしキャンプにすぐ行く事は出来ない。嫁さんのお腹には赤ちゃんがいたからだ。
お腹の赤ちゃんが生まれたら一緒にキャンプに行こうと約束をした。まいちゃんと康祐もその時を楽しみにしていた。
毎週日曜日はまいちゃんパパとお酒を飲んでいるが、おつまみとお酒のバラエティーが非常に豊富だ。
3ぱぱ「まいパパさん。いつもお酒とおつまみ豊富ですよね?」
まいパパ「ん?ええ。出張先でね接待とかで結構貰ってくるんですよ。」
3ぱぱ「そうなんですかぁ!何処らへんに出張するんですか?」
まいパパ「アジアなら何処でも行きますよ。」
ヨレヨレのTシャツ、短パン、便所サンダル、完全に私と同類だと思っていたまいちゃんパパ。その正体は6ヵ国語を自由に操るエリートサラリーマンだった。
こんな貴族の様な方が私の様な一般市民と仲良くしてくれるなんて……と思いながらも毎週楽しい時間を過ごしていた。
康祐とまいちゃん。家が近い事もあり二人の絆も深くなっていった。お互いに欠かせない親友となっていた。嫁さんとまいちゃんママも同様だ。少し年上のまいちゃんママだが嫁さんは心から信頼し姉の様に慕っていた。
月日はまた少し流れる。まいちゃん達は年長さんになっていた。年中さんになった康祐。この頃には妹の理奈も産まれていた。そして年少さんで入園して来たのは康祐の天敵「おう太」だ。よりパワーアップしたおう太。もはやビッグボスそのものだった。
続く。