【息子と親友の話】第九話
辺りは暗くなってきた。どこにいるのかわからないがこれ以上暗くなれば危険になる。
長岡ママ「警察に連絡した方がいいかもね………。」
家で待機している子供捜索隊リーダーの長岡ママは警察に電話をしようとしていた。
一方。子供捜索隊捜索班の私は………迷子になっていた。近所とはいえ知らない路地を泥酔状態で必死に探した結果。自分がどこにいるのかわからなくなっていた。
犯罪などに巻き込まれてなければ良いが………。物事を悪い方向にばかり考えてしまう。そして、ここは一体何処だろう………。
迷子で泣きそうな私のスマホから陽気な着信音が鳴り響く。嫁さんからだ。
3ぱぱ「もしもし。」
嫁「子供達見つかったよ!今何処にいるの?」
3ぱぱ「わ、わからない……」
嫁「は?」
3ぱぱ「迷子になっちゃった………。」
嫁「………アホッ!スマホにGPSついてるだろ!!」
流石は子供捜索隊捜索本部、冷静な対応で私の迷子も無事解決。地図で自分の位置を確認する。
3ぱぱ「あぁ、めっちゃ近くやん………」
嫁さん「みらいちゃんのお爺ちゃんの家の場所知ってるよね?そっちに来てくれる?」
3ぱぱ「わ、わかった。」
何故お爺ちゃんの家?と思いながらみらいちゃんのお爺ちゃんの家に向かう。
みらいちゃんの祖父母は近くに住んでいて昔から田んぼを耕している地主だ。門をくぐってからがかなり広い土地だ。田んぼ用の倉庫や重機等も沢山ある。
私が到着した頃には農作業の道具の入った倉庫の前で嫁さん達が集合していた。
嫁「遅い!!」
3ぱぱ「子供達は?」
長岡ママ「倉庫の中で立て籠もってる。」
念のため子供達が来ていないか長岡ママがお爺ちゃんの家に電話をしたらしい。お爺ちゃんが外を捜索したところ倉庫から子供達の声が聞こえてきた。
長岡ママ「おう太!みらい出てきなさい!」
おう太「やだよ!出て行ったらまいちゃんドイツに行っちゃうでしょ!」
いつから計画をたてていたのか後数分で警察に捜索願いを出すところだった。
とりあえず中に5人いるのは確認出来た。扉には中から鍵がされている。
長岡爺さん「扉ぶっこわしちまってもいいよ。」
長岡ママ「早く出て来ないと扉壊して中に入るよ!」
まいママ「まい!出ておいで!」
嫁「康祐!出ておいで!」
子供達「……………。」
長岡ママ「扉壊すしかないかぁ………」
長岡爺さん「引き戸だからなぁ。思いっきり体当たりでもすりゃ取れっぺ」
長岡パパとけん太パパは泥酔昇天中。まいパパはまだ到着していない。皆が私の方を見る。
………やっぱり扉にタックルの役目は俺か…………。
続く。